無生物主語の解説

1.無生物主語とは?

無生物主語とは、その名の通り、生物でないものが主語になることです

無生物主語とは?
→生物でないものが主語になる英文のこと

例文:
The heavy rain forced us to stay at home.
(大雨の為、我々は家に居るしかなかった。)

この文の主語は「大雨( The heavy rain )」です。もちろん、雨は生きていません。
この様な生物ではない主語を無生物主語といいます。

またこの文を直訳すると、「大雨が我々を家に居ることを強いた。」となり、不自然です。

だから、この文では「我々は」を主語にして自然な日本語になるように訳しています。無生物主語の文は、自然な日本語になるように訳すのがコツです。

2.無生物主語の用法

大きく分けて3つの用法があります。

1. 原因・理由を表す場合

訳し方:「〜のために、〜の理由で」

例文:
An acute stomachache prevented me from going out.
(強烈な腹痛のため、私は外出できなかった。)

経験したことの無い汗が出ることありますよね。

My insensitive statement made Merosu furious.
(私の無神経な発言メロスは激怒した。)

なんとなくどこかで聞いた台詞です。

2. 条件・手段・方法を表す場合

訳し方:「〜すれば、〜によって」

例文:
Ten hours’ walk will bring you to Osaka.
(10時間歩けば大阪に着きますよ。)

やたらしんどいですね。

That bus will take you to Osaka in five minutes.
(あのバスに乗れば5分で大阪に着きますよ。)

やたら速いバスですね。

Fifty thousand yen will enable you to take that bus.
(5万円あればあのバスに乗れますよ。)

やたら高いバスですね。

結局この人はどうやって大阪まで行ったんでしょうか…

3. 時間を表す場合

訳し方:「〜経てば、〜になると」

例文:
Two more years will make you forget about her.
(後2年もすれば彼女のことを忘れるよ。)

この例文で使われている make は使役動詞です。
試験ではよく出題されますので、わからない方は >> 使役動詞 のページでチェックして下さい。

どうでしたか?以上が無生物主語の3つの用法です。
無生物主語はよく出題されますし、使いこなせるとかなり役に立ちます。例文を覚えて感覚をつかんで下さい。

3.無生物主語の書き換え

無生物主語の文は、すべて書き換えが可能です。方法は、目的語を主語にして、無生物主語を適切な副詞節にすれば(適切な言葉を加えれば)OKです。では実際に、2の例文をそれぞれ書き換えてみます。

1. 原因・理由を表す場合

使用する接続詞:because

例文:
An acute stomachache prevented me from going out.
→ She couldn’t go out because she had an acute stomachache.
(強烈な腹痛のため、私は外出できなかった。)

この例文では、「外出できなかった」わけですから、because と共に couldn’t を付け加えています。

My insensitive statement made Merosu furious.
→ Merosu got furious because of my insensitive statement.
(私の無神経な発言でメロスは激怒した。)

この例文では、「メロスが怒った」ので、because と共に got furious を使っています。

2. 条件・手段・方法を表す場合

使用する接続詞:if

例文:
Ten hours’ walk will bring you to Osaka.
If you will walk for ten hours, you will arrive at Osaka.
(10時間歩けば大阪に着きますよ。)

この例文では、「大阪に着く」わけですから、if と共に arrive を付け加えています。

That bus will take you to Osaka in five minutes.
If you take that bus, you will go to Osaka in five minutes.
(あのバスに乗れば5分で大阪に着きますよ。)

上の例文と同様に、この例文も「大阪に着く」なので arrive で表せますが、今回は if と共に go を使っています。

Fifty thousand yen will enable you to take that bus.
If you have fifty thousand yen, you will be able to take that bus.
(5万円あればあのバスに乗れますよ。)

この例文では、「バスに乗れる」わけですから、if と共に be able to を使っています。

3. 時間を表す場合

使用する接続詞:when

例文:
Two more years will make you forget about her.
When two more years pass, you will have forgotten about her.
(後2年もすれば彼女のことを忘れるよ。)

この例文では、「後2年が経つ」わけですから、when と共に pass を付け加えています。
また、>> 未来完了 の文になっています。

このように、適切な副詞節にすれば書き換えができます。ただ、上記で使用した単語は一例ですので、意味に合う単語を選択すればそれでOKです。

4.無生物主語の文でよく使う動詞

無生物主語の文で使う動詞はある程度決まっています。1〜3までに使用した動詞以外で、よく使う動詞を紹介します。

○ remind 人 of 〜

意味:「人に〜を思い出させる」

例文:
This notebook reminds me of my school days.
(私はこのノートを見ると学生時代を思い出す。)

○ permit ( allow ) 人 to 〜

意味:「人に〜を許可する」

例文:
Cell phones are not permitted in this building.
(この建物内で携帯電話は禁止されています。)

○ keep ( prevent ) 人 from -ing

意味:「人が〜するのを妨げる」

prevent の例文は2.1や3.1にありますが、keep でも同じ意味になります。

例文:
An acute stomachache kept me from going out.
= An acute stomachache prevented me from going out.
(強烈な腹痛のため、私は外出できなかった。)

○ save

意味:「省く」

例文:
A stitch in time saves nine.
(転ばぬ先の杖。)
※ことわざ

○ show

意味:「示す」

例文:
The map showed me to the station.
(私は地図を見て駅までたどり着いた。)

○ surprise

意味:「驚かす」

例文:
The news surprised me.
(私はそのニュースに驚いた。)

surprise を使った熟語に「be surprised at〜(〜に驚く)」があります。本来 surprise は「驚かす」の意味なので、この熟語は受け身にすることで「驚く」の意味になっています。

○ cost

意味:「費用がかかる」

例文:
The car cost me one million yen.
(その車は100万円かかった。)

○ please

意味:「喜ばせる、満足させる」

例文:
The CD pleases my ear.
(そのCDは耳を満足させてくれる。)

please を使った熟語に「be pleased with〜(〜に喜ぶ、〜に満足する)」があります。
本来 please は「喜ばせる、満足させる」の意味なので、この熟語は受け身にすることで「喜ぶ、満足する」の意味になっています。

○ satisfy

意味:「満足させる」

例文:
A glass of water satisfied my body.
(コップ一杯の水で満足だった。)

satisfy を使った熟語に「be satisfied with〜(〜に満足する)」があります。
本来 satisfy は「満足させる」の意味なので、この熟語は受け身にすることで「満足する」の意味になっています。

たくさんあって大変ですが、出来るだけ例文で覚えるようにして下さい。