must と have to の解説

1.2つの意味

must と have to は、両方とも中学校で学習します。なぜか印象に残る単語なので、英語が苦手な方でも覚えている、何かと魅力的な言葉です。

そのお陰もあって、意味が「〜しなければならない」というのは、すでに皆さんご存知だと思います。さらに「must = have to」であることも有名です。

しかし実際は、must と have to は少し意味が異なります。その違いは以下の通りです。

2.must は主観的

「〜しなければならない」の基本的な意味は have to と同じですが、must は「主観的に〜しなければならない」と思う場合に使います。

“主観的”ではピンとこないかもしれませんが、簡単には「個人的にそう思う場合」に使うのが must です。

また、must には「命令」の意味が含まれるので、使う場合には注意が必要です。

例文1

I must buy a new car.

(新しい車を買わなければならない。)

You must go there.

(君はそこに行く必要がある。)

※命令の意味を含む

We must practice more.

(我々はもっと練習する必要がある。)

これらのように、自分自身が「〜しなければならない」と感じる場合に must を使います。

ただ、下の例文のように例外もあります。

例文2

All passengers must wear seat belts.

(シートベルトを着用すること。)

飛行機のシートに書いている文です。この場合、「個人的に必要と感じるから」と当てはめるのには無理があります。

これは「ルールを表す must 」です。乗り物・お店等に書かれている規則には must が使われているはずです。

3.have to は客観的

「〜しなければならない」の基本的な意味は must と同じですが、have to は「客観的に〜しなければならない」場合に使います。

“客観的”ではピンとこないかもしれませんが、簡単には「誰もがそう思う場合」に使うのが have to です。

違いがよくわかるように、must の例文1を have to で表します。

例文

I have to buy a new car.

(新しい車を買わなければならない。)

※誰がみても車が必要である場合

You have to go there.

(君はそこに行く必要があると思う。)

※待ち合わせをしている等、相手にとって必要がある場合

We have to practice more.

(我々はもっと練習する必要がある。)

※全く試合に勝てない等、明らかに練習不足である場合

これらのように、客観的に(相手にとって)「〜しなければならない」と感じる場合に have to を使います。

must と have to を間違えて使っても、意味が全く伝わらないことはほとんどありませんが、このような違いがあることを覚えておくと便利です。

参考・引用・転載書籍

このページの作成にあたり、

「ここがおかしい日本人の英文法」1999

著者 T.D. ミントン

訳者 安武内ひろし

発行者 荒木邦起

印刷所 研究社印刷株式会社

から引用・転載させて頂きました。